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楽団員アンケート※ 2021年11〜12月に実施

田島 高宏
コンサートマスター
2011〜2021年の間で、記憶に残った出来事
ドイツから札響に呼び戻していただけたこと。
2011〜2021年の演奏会で、印象に残っているベスト3
《バッティストーニさんとの共演》 hitaruのプレイベント(2017年9月)での会場のざわめきが忘れられない。開演前からホールに期待感が充満していた。その中で彼が感情を爆発させて出てきた音は、これまであまり経験したことのないものだった。その後の『アイーダ』は、その場にいる誰よりも自身の体の中に作品の全てが入っていて、完全にその場を「支配」していた。
《エリシュカさんとの共演》 ドイツにいた時から折に触れて当団ヴァイオリン奏者、故石原ゆかりさんからエリシュカさんと札響の奇跡の出会いと素晴らしい演奏会の数々について聞いていた。彼との『新世界』、チャイコフスキーの交響曲、そして最後の公演となった『シェエラザード』は忘れ難い。エリシュカさんの音楽に対する洞察力の深さと妥協なき音楽性の追求、そして現場を離れればとても可愛らしいおじいちゃんというこのギャップ。彼とその奥さま、そして大学の先輩でもある通訳のプロハースカ尚子さんの絶妙なコンビネーションは、札響との良好な関係に多大なる好影響を与えたはず。また会いたいなぁ。奥さまと尚子さんは元気かなぁ…。
《ホリガーさんとの共演》 ホリガーさんと何回かご一緒させて頂いたが、その中でも最初の公演(2015年9月 580回定期)での『未完成』が忘れられない。何回も演奏している作品にも関わらず彼の手にかかると魔法がかかったかのように一気に深い世界に連れて行かれる。
「ここから地獄の門が開く!」
「ああ、なんて美しいんだ!というように歌う」
当時このコンサートのコンマスを務められた大平まゆみさんは「札響に入って18年でこれがハイライトだわ。札響に入って本当に良かった!」とおっしゃっていた。彼とはこれからも可能な限り共演させて頂きたい。
(追伸)もちろん札響60周年のバーメルトさんとのブルックナーも忘れ難い。ベスト3では到底足りない。
「還暦」となった札響の楽員として、これからこのようなオーケストラでありたい、このような楽団を目指したい、という自分なりの抱負
あくまでも個人的な想いであるが、先日の60周年コンサートは、いまいる団員だけではなく、今までの先輩団員さん全ての想いが集まった何か特別なものを感じた。どんどん素晴らしい奏者が入団してくる中で、これまでの札響の響き、作曲家の想い、ハーモニー感を踏襲しながらも、外に向かって表現していくことを恐れずに演奏を続けていくことで、次の世代へと引き継いでいきたい。
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