楽団員アンケート※ 2021年11〜12月に実施
© K.Seki
小林 美和子
ヴァイオリン/副首席奏者
- 2011〜2021年の間で、記憶に残った出来事
- 《2011年5月》 創立50周年記念ヨーロッパ公演
《2014年11月 574回定期》 故石原ゆかりさんとの最後の定期演奏会
《2015年3月》 台湾公演
- 2011〜2021年の演奏会で、印象に残っているベスト3
- ①ヨーロッパ公演、最初のコンサート会場となったガスタイク。そこは大学在学中、オーケストラの授業で練習をつけてくださり、その後の私の人生に多大なる影響を与えたセルジウ・チェリビダッケ氏の率いたミュンヘン・フィルの本拠地。舞台へ上がる長い廊下や階段に、彼らのプライベートな写真がたくさん飾られており感激したこと。
②東日本大震災の直後ということで、私達もまだまだ不安と大きなショックの残る中。アンコール前に尾高忠明氏が、犠牲になられた方々への鎮魂の為に捧げます。演奏後は拍手をしないでください、とお客様に一言。そして始まったエルガーの「ニムロッド」。ホール内の空気が一変、そして鼻をすする音……? ふと顔を上げると、目に涙を溜め、ハンカチで目頭を押さえる姿があちこちに。そのとたん、私も我慢していた涙がワッと溢れて譜面が見えなくなり大変だった。あの時の、お客様からいただいた温かい気持ちに感謝した記憶は一生忘れないと思う。
③2018年1月 フォルクハルト・シュトイデ氏とのニューイヤー。セカンドヴァイオリン首席不在という中で私が頭に座らせていただき、シュトイデ氏にじっくり厳しく教えを乞う機会を得られたこと。ワルツ、ポルカの弾き方などはもちろん、ヨハン・シュトラウスの『ウィーン気質』の冒頭、彼と2人で長いソロを弾かせていただけたあの幸せな夢のような時間。リハーサル前に楽屋でボーイングの確認を含めた合わせ(レッスン)は贅沢な宝物。
- 「還暦」となった札響の楽員として、これからこのようなオーケストラでありたい、このような楽団を目指したい、という自分なりの抱負
- 気が付けば、私もしっかり中堅世代に。そして大事な役職を担わせていただいている自分にできること。
①次世代への責任。自分の経験上、伝えていけることは積極的に(それをどう生かすかは本人に任せるとして)。
②首席と皆さんをつなぐ立場。声かけ、コミュニケーションを欠かさず風通し良く。こちらからも向こうからも、話を、相談しやすいように信頼関係を保つように努める。それらの姿勢が全体にもプラスに働き、環境に恵まれた強みを活かした、札響ならではの響き、メッセージ力を発信するオーケストラとして、次の10年へ繋げていきたい。